第111~112回判例勉強会

月1回の判例研究会の第111回は、2021年10月29日開催され、新型コロナにまつわる労働問題に関するeラーニングを受講した。整理解雇、テレワーク、休業、健康配慮義務がテーマである。法律事務所もテレワークで業務を遂行することも行われ始めており、ある種、実践的な内容であった。

第112回は、2021年11月27日開催され、判例時報2480~2483号から4判例が報告された。1件は、実父の養育費支払義務は、未成年者の養子縁組によって無くなるが、その始期を養子縁組時である平成27年12月ではなく、実父からの養育費免除の調停申立時である令和元年5月からとして、その間3年以上の養育費720万円を返還しなくてよいとした事例である(東京高裁令和2年3月4日)。婚姻費用や養育費に関する事件は、調停申立をできる限り速やかに行うほうが無難であるが、養子縁組の事実はタイムリーに知り得ない場合もあり、悩ましいところである。その他、債権差押命令と差押禁止に関する事例(大阪高裁令和2年9月17日)、税理士の顧客に対する業務上のミスによる損害賠償責任の範囲を制限する契約条項が消費者契約法10条後段に反し無効と判断された事例(横浜地裁令和2年6月11日)、機密文書を出版社等へ漏洩したことを理由とする懲戒解雇と退職金不支給の有効性に関する事例(東京地裁令和2年1月29日)が紹介された。