第155回判例研究会

月1回の判例研究会の第155回は、2025年7月28日開催され、判例時報2619~2622号から4判例が報告された。
約4年半の自宅待機命令のうち4年間については社会通念上許容される限度を超えた違法な退職勧奨として慰謝料の支払を命じられたが、その後の度重なる就労継続意思確認等に一切回答しなかったことは違法な業務命令違反であり懲戒解雇を有効とした事例(東京地判令和6年4月24日)に関連して、中小企業における処遇に困る従業員への対応等について議論した。
配偶者居住権を算定した事例(福岡家決令和5年6月14日)については、いかなる場合に配偶者居住権が有効であるか検討した。
3歳2か月の児童のホットドッグ誤嚥事故に関する高裁判例(東京高判令和6年9月26日)は、2024年9月27日判例研究会で報告された地裁判例の控訴審であるが、再現実験や客観証拠の収集の重要性を確認し、弁護士会照会では過剰回答を避ける傾向にあるため質問方法の適正化が重要であることについて検討した。
離婚調停が不調となるや任意に支払っていた婚姻費用の支払を停止し、更に妻子を居住させていた夫名義のマンションについて賃料請求を開始したことで、夫が有責配偶者と認められた事例(東京高判令和4年4月28日)は、婚姻費用について意見の対立がある場合の支払方法など検討した。