月1回の判例研究会の第106回は、2021年5月25日開催され、判例時報2460~2463号から4判例が報告された。賃貸人の死亡時における敷金返還債務の承継主体が誰であるかに関する事例(大阪高判令和元年12月26日)、再転相続時の熟慮期間の起算日が問題となった事例(東京地判令和元年9月5日)、建物明渡執行の執行費用の請求に関する事例(最三判令和2年4月7日)、認可外保育施設に預けられた9か月の幼児が熱中症で死亡した場合に、運営法人側だけでなく市の責任が認められた事例(宇都宮地判令和2年6月3日)を取り扱った。
第107回は、2021年6月28日開催され、判例時報2464~2467号から4判例が報告された。地面師詐欺の取引に誤って関与した司法書士の責任に関する事例(最判令和2年3月6日)、祖母による未成年者の監護者指定の申立てを認めた事例(大阪高判令和2年1月16日、ただし後に最決令和3年3月29日が申立権を否定)、死者に関連する情報を相続人の「自己を本人とする保有個人情報」にあたるとした事例(大阪地判令和元年6月5日)、自分に不利な意見を述べた鑑定人に対して不法行為に基づく損害賠償請求をした事例(山口地下関支判令2年5月19日)を取り扱った。
第108回は、2021年7月27日開催され、日弁連の提供する、遺留分侵害額請求訴訟に関するe-ラーニングを受講した。遺留分侵害額請求は、金銭請求に変更されただけでなく、特別受益の範囲などその他の変更点も多々あるため、初心に帰って取り組むことが肝要と思われた。