月1回の判例研究会の第139回は、2024年3月22日開催され、2022年親子法制改正についてe-ラーニングを受講した。嫡出否認等の実務上あまり取り扱わない分野であるが、基本的な民法の改正であるため重要である。
第140回は、2024年4月24日開催され、判例時報2573~2576号から4判例が報告された。
電子記録債権と転付命令に関する最決令和5年3月29日は、転付命令のリスクを思い知る一例であった。その他、破産管財人による不動産の任意売却交渉や、不動産放棄の事前通知と放棄通知が債務の承認にあたるとされた事例(最決令和5年2月1日)、SNS上でイラストレーターのトレース疑惑が発信され、原審で発信者情報開示請求が認められたが高裁で逆転した事例(知財高判令和4年10月19日)、迷惑防止条例の例示列挙型構成要件の解釈に関する事例(最決令和4年12月5日)が紹介され、議論した。
第141回は、2024年5月20日開催され、判例時報2577~2580号から4判例が報告された。
納骨堂の経営等に係る許可の取り消し訴訟において納骨堂の周辺住民の原告適格が認められた事例(最判令和5年5月9日)、統合失調症の治療のため精神科病院に任意入院者として入院した患者が無断離院をして自殺した場合に、病院の無断離院の防止策が十分に講じられていないことを患者に説明すべき義務があったとはいえず病院に責任がないとされた事例(最判令和5年1月27日)、正社員と定年後再雇用有期契約の嘱託社員との間の労働条件格差が不合理といえないとされた事例(最判令和5年7月20日)、婚姻から200日以内に出産したため嫡出推定を受けない子についてDNA鑑定をしたところ父子関係が否定されたにもかかわらず妻から夫に婚姻費用を請求したところ、妻の生活費分は信義則上認められないが養育費相当額は支払うべきとした原審判断が破棄され全額支払不要とされた事例(最決令和5年5月17日)が紹介され、議論した。