月1回の判例研究会は、第96回が2020/8/3、第97回が2020/8/31、第98回が2020/9/28に開催された。
3回で紹介された裁判例は12件に及ぶ。契約法、不法行為法、時効問題、労働問題、医療問題、相続法、親族法など多岐にわたった。
判例研究会のZoom利用が定着してきた。現実の裁判においてもウェブ会議の活用が本格化していく最中にあり、ウェブ会議の推進はこれからも進むであろう。次回の判例研究会は、eラーニングを予定しており、これとZoom利用の併用を如何にするかが課題である。
月1回の判例研究会は、第96回が2020/8/3、第97回が2020/8/31、第98回が2020/9/28に開催された。
3回で紹介された裁判例は12件に及ぶ。契約法、不法行為法、時効問題、労働問題、医療問題、相続法、親族法など多岐にわたった。
判例研究会のZoom利用が定着してきた。現実の裁判においてもウェブ会議の活用が本格化していく最中にあり、ウェブ会議の推進はこれからも進むであろう。次回の判例研究会は、eラーニングを予定しており、これとZoom利用の併用を如何にするかが課題である。
第95回の最新判例研究会(判例時報2423-2426)は、2020/6/26、久々の開催となった。新型コロナウイルスの影響で、3、4、5月の判例研究会は中止となっていたが、緊急事態宣言も解除され、まだ、予断を許さない状態であるので、ズームによる参加を受けての開催となった。
第1例 懲戒解雇無効確認等請求事件の被告会社の申請した従業員に対する証人尋問において、被雇用者の代理人弁護士のした反対尋問における発言が当該証人の名誉を毀損すると争われた事例において、第1審では否定、控訴審で100万円を認容した事例(東京高判H30.10.18)。熾烈な訴訟を展開していく過程において、尋問がエキサイトする場面がある。当事者以上に代理人が過激になることを戒められた事例である。
第2例 18歳前後の遊び仲間の少年4人のうち1人が、他の3人の悪ふざけで琵琶湖のヨットハーバーの突堤から湖水に突き落とされて溺死した事例。前記3人の共同不法行為責任が認められたが、同人らの親権者に対する民法709条の不法行為責任が否定された事例(大津地判H31.3.14)。中学生、高校生の親権者に対する請求事例において、どのような事実があれば認められるか、具体的事案をとおして判例が積み上げられていくので、参考になる判例である。
第3例 成年後見人が被後見人の財産を不正に流出させた事案に関し、家事審判官には選任及び監督権の行使または不行使につき国家賠償上の違法はないとされた事例(東京地判H30.5.18判決)。本事例は、後見人が81歳の時に選任され、被後見人には多額の財産があったこと、使途不明金も多額であった。選任及び選任後の過程において、相当問題がある事例なので、家事審判官に対し、責任を認めても良いではないかの疑問が残る事例であり、翻って、弁護士が近時、後見監督人となることも多く、後見人に不正行為があり、これを看過した場合、責任を負う場合がでる。自らが不正行為をしなくても、監督責任を負うことには、難しい問題を孕むものとの意見交換になった。
第4例 有期契約労働者と無期契約労働者との労働契約の相違について、年末年始勤務手当、住居手当、夏季冬季休暇に関する相違は、不合理とされた事例(東京高判H30.12.13)を検討し、同一労働同一賃金につき議論した。
集合時間は、朝7時だった。私は、6時35分ころ家を出て、のぞみ事務所に6時55分ころに着いた。T弁護士が奥さんとフォルクスワーゲンで既に到着していた。私と同時くらいに、彫刻家のWさんがミニローバーで着いた。N弁護士はまだ来ていなかった。私が事務所の鍵を開け、風除室のドアを開けようとした時、N君が飛び込んできた。私は、ポケットに免許証がないことに気が付き、急ぎ事務所のテーブルにカメラと一緒に置いてあった免許証を持った。H弁護士も着いた。総勢6人、全員集合した。
この企画は、津波被害に遭われた被災者の方々に何かできないか、と言う素朴なものだ。静岡県弁護士会に問い合わせたが、福島、仙台、岩手の各弁護士会は、静岡県弁護士会の派遣をまだ受け入れていない、とのことだった。多くの弁護士が、日弁連経由で派遣を望んでいるが、まだ、対応できていない。4月19日、日弁連からのぞみ事務所へ「静岡県弁護士会を受け入れる体勢はできていない、もう暫く待って欲しい。」とのファックスが届いた。福島、仙台、岩手の各弁護士会へ直接、問い合わせたところ、「日弁連経由で行って欲しい」とのことだった。しかし、日弁連では、月日を含めその企画は、定まっていない。
我々も、ゴールデンウイークしか、長期の時間がとれない。被災地の惨状を見ると、ゴールデンウイークに座していること、遊んでいることはできない。道は、弁護士海援隊の募集に応じることである。海援隊は、N弁護士が提案した現地の法律相談実施と現状調査、居住地や仕事場の喪失に加えローンが残ることへの債務免除の法制化の活動である。N弁護士の問題意識の高さと行動力には驚嘆する。しかし、この参加にも課題があった。
海援隊の「岩手県沿岸部出張相談」募集要項は、下記のとおりである。
1 交通手段、宿泊場所、食料は、すべて自分で手配する。
2 被災者支援の法律相談に必要な知識をMLなどで取得し予め勉強する。
3 事務用品その他必要道具、配布チラシ等は自分で用意する。
4 被災地での法律相談が思うようにできなかったとしても文句を言わない。
5 時期 4月30日〜5月2日
毎日、午前6時30分集合
終了、大体午後7〜8時
この要項は、了解した。しかし、宿泊場所を決めることができるか。毎朝6時半の集合になると朝5時起きになるが、可能か。被災地に入ることはできるか。ガソリンは購入できるか。昼食は、被災地でどのように獲得するか。タイヤがパンクした場合は、どのようにするか。若い弁護士は、体力があるが、私は、付いて行けるのか。若い弁護士達が行って、ケガなどをする可能性がある。「後藤さん、無理をしすぎた。無謀だったね。」と言われることは必定である。余震もあり得る。無事に帰ってくるにはどうしたらよいか。考えれば考えるほど、検討課題が次々と生まれた。
私たちが、長期に法律相談などでお手伝いできる期間は、5月のゴールデンウイークくらいしかない。何か活動をしたいと決めた以上、行ってみるほかはない。こうして、海援隊に参加することにして、5日間のスケジュールとなった。
運転は、Wさんに頼み、7時10分、出発した。Wさんは、「法律相談はできないとしても、被災者の方々に何かお役に立ちたい、自動車の運転手でもいいから手伝わせて欲しい」と参加してきた。東名高速道路に乗ると首都高の情報が入ってきた。まだ、7時30分頃というのに渋滞が始まったとのことだ。急遽、中央道で向かうことにして御殿場ICで降りた。しかし、みな、東北へ行った経験がなかったため、道不案内であり、中央道の下山サービスエリアに向かった。これは、失敗だった。中央自動車道から八王子〜JCT首都圏中央連絡道(圏央道)に入り、鶴ケ島JCT〜関越自動車道、高崎JCT〜北関東自動車道、岩舟JCT〜東北自動車道である。関越道に乗り、八王子方面から入ったほうがよかった。首都高の一つ外側の道路は、混んでいた。浦和で降り、食事をして再び走り始めた。その後は、H弁護士が運転した。しかし、埼玉県久喜、これから羽生、渋滞である。
午後9時40分、漸く宿泊基地である花巻市花城町のK旅館に到着した。朝7時10分から14時間30分かかった。いよいよ明日から被災地に入ることになる。安堵と明日からの法律相談を思い浮かべながら就寝した。
2011.4.29(金)後藤正治 記
月1回の判例研究会第93回は、2019/12/23に開催、「証拠の収集と効果的な提出~損害賠償請求を中心に~」のeラーニングで、プロジェクターを使用した講演の受講となった。終了後は、証拠の収集とその提出につき意見交換を行った。
第94回は、2020/1/24に開催、判例時報2419~2422号から4判例が報告された。うち1件は、病院に入院中の患者が、病室において、何者かにより、カニューレにティッシュペーパーを詰められ、心肺停止となって発見された事故である。地裁において、「加害の故意を持って本件行為を行った」との請求が棄却されたが、高裁において「看護師ないしは医療従事者が本件カニューレ・周囲の汚染を防止する等の目的でティッシュペーパーを使用した後、漫然とこれを除去することを失念して放置した過失による不法行為」の主張に変更され、これが認容されたものである(大阪高裁H30.9.28)。故意行為から過失行為に高裁段階で請求原因の変更を行ったことの重要性を改めて認識したことなどが議論となった。別の1件は、夫婦の一方が、配偶者の不貞相手に対し、不貞行為から受けた精神的損害ではなく(時効成立のため)、4年後に離婚したことの精神的損害について慰謝料を請求した事案である。地裁、高裁においては、Xの請求を一部認容したが、最高裁は、当該夫婦を離婚させることを意図してその婚姻関係に対する不当な干渉をするなどして当該夫婦を離婚のやむなきに至らしめたものと評価すべき特段の事情があるときに限られるとして原判決を破棄、請求を棄却した(最判H31.2.19)。研究会においては、さらに、離婚案件の慰謝料の相場が低下傾向にあるのではないかという肌感覚について議論された。
月1回の判例研究会第91回は、2019/10/31に開催された。趣向を変えて、家庭の法と裁判No14〜17号から7判例がレポートされ、親族法を集中して研鑽した。
第92回は、2019/11/25に開催され、判例時報2415~2418号から4判例が報告された。1件は、歯科医院が、Googleに対し、Googleマップに掲載されたクチコミにより人格権が侵害されたとして、クチコミを削除する仮処分を求めた事案である(東京高決H30.6.18)。虚偽の事実を記載した投稿は削除が認められたが、不満を述べる感想は削除が認められなかった。患者ごとのオーダーメイドであるという歯科治療の特性、ウェブサイトへの書込みは国民の表現の自由や知る権利の保障に関係すること、Googleには実質的反論が困難であることを考慮すると、歯科医院側は、このような投稿については、ある程度受忍していくことが社会的に求められているとされた。クチコミに関する相談は増加傾向にあり、削除をしない場合の善後策に関して参加者間で協議した。また、1件は、大学病院において、開院当時の人員不足を補う目的で、任期1年で雇われた臨時職員が、30年以上ほぼ賃上げのないまま契約更新されたことに対し、「期間の定めがあることによる不合理な労働条件」であるとして正規職員との賃金差額を請求した事案である(福岡高判H30.11.29)。研究会においては、改正パートタイム・有期雇用労働法が2020年4月1日施行される点についてもフォローされた。